大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1174 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人蓬田武上告趣意第一点について。

所論は原審において主張されず従つて原審の判断を経ていない事項を主張するも

のであり刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。のみならず第一審判決

は被告人が判示犯行をなす犯意のあつたことを認定しているのであつて、その事実

認定はその挙示する証拠に照らしこれを肯認するに難くないのである。所論は結局

同判決が採用しなかつたと認められる証拠に基ずき独自の見地に立つて事実審の裁

量権に属する証拠の取捨又は事実の認定を非難するに帰着し、上告適法の理由とな

らない。

同第二点について。

しかし、原判決は本件に適法にあらわれた諸般の事情を斟酌して第一審判決の量

刑を是認したものと認められる。記録を精査しても右量刑上の判断が所論のような

人種的偏見に出でたものたることを窺い得べき証跡は存在しない。論旨主張の違憲

論はその前提を欠き、その他の所論は畢竟事実審がその裁量権の範囲内で適法にな

した刑の量定を非難するに帰着し、刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しな

い。そして本件は同四一一条を適用すべき場合とは認められない。

被告人Bの弁護人小室薫上告趣意について。

所論は形式的には憲法違反の主張をするのであるが、その実質は単なる訴訟法違

反を主張するものに外ならないのであり刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当

しない。のみならず原審は所論第一審判決の事実認定に関しては「被告人Bの原判

示第二の(一)乃至(四)の事案は原判決挙示の証拠中右事実認定の証拠として掲

げられた(一)乃至(六)の証拠を綜合すれば之を認めるに十分である」と判示し

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ているのであるから、これによつて所論控訴趣意第一点第一の主張の理由なきこと

を判断したものということができるのである。所論は原判旨に副わない非難を試み

るものたるに過ぎない。そして本件は刑訴四一一条を適用すべき場合とは認められ

ない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号に従い主文のとおり決定する。この決定

は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二六年三月二九日

最高裁判所第一小法廷

裁判官 岩 松 三 郎

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

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